神戸新聞1993年6月19日

 知名度抜群 観光客呼ぶ  神戸臥龍殿

 神戸の中華街・南京町に四月にお目見えした総工費7000万円の公共トイレ「臥龍殿」が早くも関西でおなじみに。建てたのは南京町商店街新興組合で、三国志で知られる諸葛孔明の別名から命名した。

トイレの取っ手は金色の龍。ドアには菊と鳥が描かれた。装飾品はすべて組合員が台湾で買いつけたもの。
関西を中心に知名度は抜群で、臥龍殿を見るために南京町へ来る観光客も。管理している同組合によると、
休日だと一時間で百人以上が利用する新名所に

神戸新聞1993年4月

 南京町に豪華中華風トイレ 18日から使用、神戸の新名所に・・・

 神戸・元町の南京町に豪華な中華風観光トイレが完成し、十八日に完工式が行われる。地元の商店主たちが、地域の活性化策として整備した本格的な三階建て中国建築で、名称は「臥龍殿(がりょうでん)」。コミュニティーホールも併設し、南京町の中国文化に触れられる催しを開くという。トイレと呼ぶにはあまりにぜいたくな造りで、神戸の新しい観光スポットとなりそうだ。

 町の活性化に力を入れる南京町では、一九八七年から中国の伝統行事、春節祭を催し、今年一月には三十七万人の観光客が訪れた。ところが、町に公衆トイレがなく、大きな課題になっていた。

 トイレは、町の八十六店で組織する南京町商店街新興組合が総工費七千万円をかけて建設。
鉄骨三階建て延べ百二十一平方メートルで、一階部分は公衆トイレ、二階はコミュニティーホール、三階は管理事務所になっている。

 一階の公衆トイレは朱色を基調とした内装で、各扉にも彫り物を施した豪華版。
香をたいて中国ムードを演出するという。

 建物の目玉は建物の一階正面の展示室。縁起物の九頭の龍を彫った壁が飾られ、春節祭で使う龍が展示される。
「臥龍殿」の名も、展示物の龍がふして春節祭を待っている姿から付けられ、建物正面の文字を、作家・陳舜臣さんが揮ごうした。

 また、二階のコミュニティーホールでは、中国語や中華料理、書道などさまざまな教室を開き、市民が南京町の文化に触れられる催しを開くという。

 完工式は午前十時から。獅子舞、龍踊りの披露に続いて、南京町広場で紹興酒を振る舞い、新名所の誕生を祝う。